家を建てたくなったら 丹羽修著

書籍

家を”建てたい”人の指南書であり、教科書です。

目次
第1章 建築家と家を建てるということ
第2章 建てたい家=実現したい暮らしを考える
第3章 建築家の選び方
第4章 土地のこと、立地のこと
第5章 間取り、収納の考え方
第6章 住み心地のよう家をつくるために
第7章 工務店の選び方
第8章 お金のこと
第9章 中古住宅リフォーム
巻末付録:住宅調書

住宅設計を主な仕事としている建築家である著者が、”自分たちの理想の家を住むことをあきらめないでほしい” ”人と人との関係を大切にする家づくりを知ってほしい”という思いを込めて書かれた本です。

この本を読んだのは、まだ土地のこと、お金のこと、住宅建築のことも何も知らず、単純に”そろそろマイホームが欲しいかな”と思った頃でした。住宅関連書籍として手に取った1冊目の本です。

その後、住宅関連の書籍は数えきれないくらい読みましたが、結局、この本がその後のマイホーム建築の指針となり、教科書となりました。土地を探す時、工務店を選ぶ時、間取りを考える時など、様々な場面で何度も読み返して参考にしました。

私自身にとっては、この本を読んだメリットは以下の点になります。

  • 家を”買う”のではなく、”建てよう”と決めることができた点
  • 1冊「家ノート」を作って「住みたい家」の理想の全てを一度書き出してみようと思った点
  • 自分に合う建築家・設計士・工務店を頑張って探してみようと思った点

本のタイトルの通り、まさに”家を建てたくなったら”、真っ先に読む本だと思います。住宅展示場に行く前に、マイホーム購入の具体的なアクションに入る前に、一度お読みになられることをお勧めします。

また、以下に読んでいて”いいなぁ”と思った著者の言葉を記載しておきます。

  • 家をつくるということは、「人」が住む生活の場をつくること
  • 「建てる」が普通の時代は、「暮らし」に合わせて、家を建てていたのです。パッケージされた家を「買う」ようになってから、どうも「暮らし」のほうを「家」に合わせるスタイルに変化してきたような気がします。
  • 自分なりの要望というのは、最初からだれもが言語化できているわけではない。
  • 自分の「ふつう」を知ること。
  • 自分と家族は、どんな暮らしがしたいのかを考える。
  • 自分たち家族の幸福を定義すること。
  • 変化に対応できる柔軟さを家にもたせておく。
  • 職人さんへのリスペクトなくして、絶対にいい家をつくることはできない。
  • 目で見て感じたことがいちばん大切。
  • 住宅建築というのは、好きでないとできない仕事。
  • 建築家・設計士を選ぶ上で一番大切なことは、「私の家」「私の夢」に関心を持ってくれるか。
  • 図面を書くということが、建築家・設計士にとって命。
  • 「いい土地」は、人によって違う。
  • 何のために家を建てたいかを忘れない。
  • 「住みたい家」のイメージをブレずに持ち続けることの大切さ。
  • 土地はできるだけ安く買ってください!!
  • 「何部屋必要か」ではなくて、「その家でどういう暮らしがしたいのか」
  • 「一応」はやめる。
  • 人間は広い場所ではなく、心地よい場所に集まる。
  • いい家は、住む人によって全く違う。
  • 「内」でも「外」でもない半屋外の曖昧な領域が重要

加えて、この本の下記のパートは、マイホームが完成した時に設計士の方にお礼とその時の私の実感として贈りました。数年経った現在でも、日々の様々な場面で感じるところですので、抜粋して記載しておきます。

「買う」と「建てる」の大きな違い
「買う」家と「建てる」家の違いは何でしょうか。よく「自由度」だと考える方がいらっしゃいますが、私が考える大きな違いは、こめられた「思い」です。
人の気持ち、もっというと魂が入っている。その土地に家を建て、住まう覚悟というものが感じられる。建てる人、住む人、関係者すべての「思い」の量が、圧倒的に違うと思います。そして、人の思いがこもっている家は、やはり住む人にとっても街にとっても「いい」のです。説明が難しいですが、「表情があるな」と感じます。そして、そんな「人の思い」こもった家に住むのは、本当に楽しいものです。「表情がある家」が増えたら、街ももっと楽しく、暮らしやすく、あたたかい雰囲気に満ちていく。そんなことを思いながら、私は日々仕事をしています。

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