小屋から家へ 中村好文著

書籍

住まいの原点

目次
古今東西 意中の小屋たち
中村好文の12の小屋と家
対談:小屋の愉しみ/中村好文 x 皆川明

私の好きな建築家の一人で、住宅建築を多く手掛ける中村好文氏。その中村氏を長年魅了し続け、鼓舞する「7つの小屋」。その7つの小屋の詳細を紹介した後、中村氏が手掛けた極小の小屋から小屋の面影を宿した小住宅までを、面積の小さいものから順に並べて紹介していきながら、「人のすまいってなんだろう?」「人の暮らしってなんだろう?」ということを考えていく本です。

マイホーム建築を考える際には、何部屋欲しいという間取りから入ってしまい、ともすると「あれもこれも」と、床面積が膨らんでいきますが、この本は逆に、人の住まいというものはどこまでシンプルにできるのか、住まいの原点とは何なのかを、実際の中村氏の建築を通じて、小屋と住宅の境を朧気ながら掴むことにより、頭というよりも感覚でつかむことができます。

実際、マイホーム建築にあたっては、「それは本当に必要なのか?」「自分は本当は何を欲しているのか?」を問いかける際に思い出される本でした。掲載されている小屋はいずれも魅力的ですが、特に”立原道造のヒアシンスハウス”、中村氏の小屋建築の原点である”Serigasawa Hut”、住宅というよりは小屋のテイストが残る”Peak Hut”、”Shigi Hut”、”Koma Hut”、”Kirishima Hut”には、中村氏の「住まいとは何か?」に対する一つの回答のようなものが感じられるとともに、無駄なものがそぎ落とされた、潔さと心地よさを感じ取ることができると思います。

また、非常にきれいな写真が多く、俯瞰図及び詳細設計図も記載されておりますので、パラパラめくるだけでも楽しいですし、中村氏の文章も非常に魅力的です。

中村氏の建築に興味のある方はもちろんですが、小さい家、シンプルな家を持ちたいと思われる方にもおすすめです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました